「平成29年11月9日掲載」
知って得する税の寺小屋
Q.今年に入って親が亡くなりましたが、相続税の申告とは別に亡くなった本人の所得税の確定申告の必要があると聞きました。通常の確定申告とはどのように違いますか。
————————————————————————————————————————————————-
A.通常、所得税の確定申告は暦年を計算期間として所得を計算し、翌年2月16日から3月15日までの間に申告を行います。しかし親が亡くなった場合の確定申告(準確定申告)については次の点が通常の確定申告とは異なります。
①計算期間が異なります。
1月1日から死亡の日までを計算期間として所得税を計算します。
②申告期限が異なります。
死亡の日の翌日から4カ月以内に申告を行わなくてはなりません。
③申告者が異なります。
通常の確定申告であれば親自身が申告を行いますが、準確定申告の場合原則として相続人が連署により親の納税地の所轄税務署に申告します。
その他、注意すべき点は次の通りです。
ア.各種証明書の発行を依頼する。
確定申告を行う際には個人の収入、控除の種類に応じて各種の証明書が発行されます。一般的には「源泉徴収票(給与・年金)」や「生命保険料(損害保険料)控除証明書」「国民年金控除証明書」などがこれに当たります。準確定申告においては年の途中で申告が発生するためこれら証明書の発行を各機関に依頼する必要があります。
イ.各種所得控除の判断
医療費控除については親の死亡日までに負担した医療費が控除の対象となります。(死亡日後に支払った親の医療費については親を扶養していた者の医療費控除に含めることができます)また配偶者控除・扶養控除については親の死亡日の状況により対象者の判断を行います。
ウ.親が事業所得者の場合
親が事業所得者(事業的規模の不動産所得者を含む)である場合には、準確定申告により発生が見込まれる個人事業税の納税額を必要経費に算入することができます。
エ.相続税との関係
準確定申告により納付する所得税が発生した場合には、納付した所得税は親の相続財産における債務(マイナスの財産)となります。一方所得税が還付された場合には還付税金(プラスの財産)となります。