「令和元年7月19日掲載」
知って得する税の寺小屋
Q.株を売却して損が出ました。配当金の収入と相殺できると聞きましたが、そうした方が有利なのでしょうか。
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A. 所有する上場株式などを売却して売却損が発生した場合には、次の方法によりその売却損を通算(相殺)することができます。
①他の上場株式の売却益と通算する。
②上場株式などの配当などと通算する。
※その年で売却損を通算しきれない場合には確定申告をすることで売却損を3年間繰り越すことが可能です。
このうち配当金については配当金受取時に源泉徴収が行われ、所得税・住民税が課税されます。そこで確定申告をして配当金と株の売却損を通算することで配当金に課税されている所得税・住民税を取り戻すことが可能です。
なお配当金の課税は総合課税、申告分離課税、申告不要制度のいずれかを選択します。株の売却損と通算する場合には申告分離課税制度を選択したことになり原則確定申告が必要です。
※現在は特定口座で配当金を受け入れることも可能です。この場合には同一特定口座内で株の売却損と売却益、もしくは配当金が特定口座内で通算され税金の清算(還付)が行われます。確定申告も不要なため便利です。
配当金を申告分離課税で確定申告する場合には次の点に注意しましょう。
①売却損失を超える配当金を申告すると、超える金額について個人の所得が増加します。パート収入などで扶養親族となっている場合には、自身の所得増加により扶養対象から外れることがないよう気を付けましょう。
(同一特定口座内で通算される場合には所得判定には加わりません。)
②住民税の配当金課税については所得税と異なる課税方法を選択することができます。この場合、自身で住民税の申告が必要となります。選択した課税方法により住民税の負担額が異なる場合があります。
株式を所有している方にとって配当金は大事な運用益です。近年では企業側においても株主重視の姿勢から配当金を積極的に行い、株主還元を図っています。国としても現金に偏りがちな資産形成の多様化を図るため株式などの金融資産の所有を積極的に推進し、これを税制面からも支援しています。株式や配当などにかかる税金は多様な選択肢がありますが、上手に活用して負担の軽減につなげましょう。