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  • 2021.05.27

    神奈川新聞に掲載されました。

    「令和3年5月27日掲載」

    知って得する税の寺小屋

    Q.孫に不動産の生前贈与を考えており色々調べていると、節税対策として「相続時精算課税制度」を知りました。何か注意すべき点があれば教えてください。

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    A.「相続時精算課税制度」は、生前贈与の際に贈与税が高率なことから妨げられていた世代間の円滑な財産移転を促す目的で2003(平成15)年に創設された制度です。現在では制度も定着し年間約4万件の申告が行われています。

    生前贈与を受けた場合、贈与税は通常「暦年課税制度(年間110万円を超える贈与を受けた場合に受贈者が申告納税する方法)」となりますが、60歳以上の父母または祖父母から20歳以上の子または孫への贈与に対しては事前の届け出により「相続時精算課税制度」を選択することが可能です。届け出をすることで届け出者間(父と長男、祖母と次女など)の贈与については年度を問わず合計2500万円(一定の住宅取得資金については3500万円)までは申告により贈与税が課税されません。来はできなかった高額の財産移転が贈与税の負担なく行える制度として活用されています。

    「相続時精算課税制度」を受ける場合のメリットとデメリット

    【メリット】

    ①収益財産の移転による節税効果す。

    ・賃貸不動産などの収益物件や値上がりの見込める株式などを生前移転することで、移転後の賃料収入や株式の値上がり益などが子や孫に無税で移転できます。

    ②財産相続人の確定

    ・贈与者は自身の相続を見越して、自身の判断で希望の相続人(子、孫)に財産を移転することができます。

    【デメリット】

    ①相続財産に加算される

    ・「暦年課税制度」の場合、贈与財産は3年を経過すれば贈与者の相続財産から除かれますが「相続時精算課税制度」の場合、贈与財産は贈与時の価値で必ず贈与者の相続財産として加算されます。

    ②「暦年課税制度」が適用できない・一度「相続時精算課税」の届け出をした届け出者間においては、以後「暦年課税」を適用することはできず「相続時精算課税」を取りやめることもできません。毎年110万円の非課税を活用している方は気を付けましょう。

    制度の仕組みを理解し、上手に活用すれば節税対策にもなる「相続時精算課税制度」。一度検討してみてはいかがでしょうか。

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