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  • 2022.06.09

    神奈川新聞に掲載されました。

    「令和4年5月17日掲載」
    知って得する税の寺小屋
    Q.
     自宅の相続を考えています。新しく始まった「配偶者居住権」について、節税対策ができるとのことですが、何か注意点がありましたら教えてください。
    A.
    ①「配偶者居住権」とは
     〇「配偶者居住権」は2020(令和2)年4月1日に民法にて施行されました。相続における配偶者の生活環境の維持を図るために創られた制度です。
     〇従来は配偶者が自宅を相続する場合、建物や土地のすべて(所有権)を相続することが必要でした。ただし「所有権」はすべての相続財産額に占める評価額の割合が高くなることもあり、法定相続分の問題からすべての所有権を配偶者が相続することができず他の相続人から売却を迫られるケースや、配偶者が「所有権」を相続する代わりに自身が所有する金銭(代償金)を他の相続人に支払う必要が生じたりしていました。「配偶者居住権」の創設により従来の「所有権」と異なる「居住権」を新たな権利として認めることでそれぞれの評価が下がり、配偶者は居住権を持つことで生活環境を維持しやすくなりました。
    ②「配偶者居住権」の評価
     〇「配偶者居住権」は建物の相続税評価額を基に残存年数と配偶者の平均余命等を考慮して計算します。合わせて「土地の敷地利用権」も相続することになりますが、従来の土地建物の所有権を相続する場合に比べ評価額は低くなります。
    ③「配偶者居住権」による節税
     〇「配偶者居住権」をつかった節税については、いわゆる「二次相続」とセットで考えることで効果が得られます。
     〇「配偶者居住権」はいずれも相続した配偶者の死亡(二次相続)によりその権利が消滅し相続財産とはなりません。また土地建物の所有者が相続後に使用収益しても贈与税は課税されません。結果二次相続時に居住権相当額の財産が減少します。
    ④注意点
     〇配偶者の死亡前に「配偶者居住権」を合意解除した場合、贈与税や譲渡所得税が課税されます。生前売却を予定する場合には気を付けましょう。
     〇配偶者固有の財産が多い場合には従来通り「配偶者居住権」を考慮しない相続の方がトータルの相続税額が少なくなる可能性があります。
     節税を考慮して「配偶者居住権」を検討する場合には、事前に専門家への相談をお勧めします。

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