「平成29年7月7日掲載」
知って得する税の寺子屋
Q.妻がパートで働いており、年収を103万円以内に抑えています。
来年から配偶者控除の制度が変わると聞きましたがどのようになるのでしょうか。
————————————————————————————————————————————————-
A.配偶者控除は配偶者の収入に応じて一定額(38万円)を世帯主(納税者)の所得税計算から控除する制度です。
配偶者控除は2018年(平成30)年度より下記の見直しが行われます。
【改正点】
①控除対象配偶者の収入範囲が広がります。
パートなどの給与収入の場合、年収が103万円を超えると配偶者控除の対象でしたが、今回の見直しで対象年収が150万円まで増額されました。
給与収入の場合、現在より年額47万円分多く働いても配偶者控除の対象になります。
②世帯主にも所得制限が設けられました。
従来の配偶者控除は配偶者の所得及び世帯主と同一生計を要件としていましたが、今回の改正で新たに所帯主の所得にも制限が設けられました。
給与収入の場合、世帯主の年収を3段階区別し段階的に控除額が減少します。そして世帯年収が1220万を超えると配偶者のパート収入が150万円以下であっても配偶者控除額は0円になります。高収入世帯は注意が必要です。
③配偶者特別控除も見直されました。
現在配偶者特別控除は配偶者の年収が103万円超で配偶者控除が受けられない場合に、一定額まで控除を受ける事が出来る制度です。
今回配偶者控除の改正に伴い、配偶者特別控除についても対象年齢が広がりました。
給与収入の場合年収151万円から201万円までの範囲内で段階的に控除を受けられます。ただしこちらも世帯主の所得制限が設けられ年収1220面円を超えると控除額は0円になります。
【留意点】
今後配偶者の年収については下記の影響を家族で検討する必要があります。
①配偶者の所得税
年収103万円を超えると配偶者自身に所得税が発生する可能性があります。
②配偶者手当の支給基準の確認
企業から給与の一部として支給される「配偶者手当」は配偶者控除の要件である「年収103万円」を支給基準としている企業がほとんどでした。
今後の支給基準を確認する必要があります。
③社会保険の加入条件
従来から勤務状態と併せて年収130万円(大企業の場合106万円)を超えると社会保険の加入義務が生じます。
配偶者が世帯主の扶養から外れることが考えられます。